2025年1月11日、渋谷パルコの屋上から男性が飛び降り自殺をし、歩行中の50代男性も巻き込まれて負傷した事故が起きました。
通行人の50代男性は頭にけがを負い、命に別状はないとのことですが容体が心配されます。
一方、飛び降りた男性は18歳とみられ、飛び降りた状況や原因について現在も捜査が続いています。
18歳の男性は死亡したとはいえ、通行人の男性にけがを負わせました。この場合は罪に問われるのでしょうか?
過去の事例をもとに調べてみました。
飛び降りた男性は罪に問われる可能性が高い
横浜駅の飛び降り事件では「容疑者死亡のまま書類送検」
2024年8月31日、横浜駅ビルの12階から女子高生(17歳)が飛び降り、地上を歩いていた女性(32歳)を死なせる事件がありました。
この事件では悲しいことに、飛び降りた女子高生と通行人の女性2名ともが亡くなる結果となりました。
このとき、捜査にあたっていた神奈川県警戸部署は、飛び降りた女子高生を「容疑者死亡のまま書類送検」しました。
書類送検の理由については下記のように報道されています。
書類送検容疑は、8月31日午後5時55分ごろ、横浜駅に直結する「JR横浜タワー」(横浜市西区南幸1丁目)の12階デッキから転落し、地上を歩いていた横浜市緑区の女性会社員=当時(32)=に衝突して死亡させた、としている。
署は、女子生徒が通行人らを巻き添えにする危険性を認識できたにもかかわらず、自ら転落したと判断した。
https://www.kanaloco.jp/news/social/case/article-1128505.html
「通行人などを巻き込む危険性を認識できていた」という点が書類送検に至った理由のようですね。
渋谷パルコの飛び降りは「危険性を認識できていた」はず
今回の渋谷パルコの事件に当てはめると、飛び降りた男性は18歳で、場所は繁華街である渋谷パルコ前、時間帯は夜9時頃であることから、一般的に考えれば通行人が多い場所と時間帯であることは容易に想像できます。
あとは飛び降りた男性の責任能力などが論点になりそうですが、ここに関してはまだ詳しい情報が出ていません。
責任能力について保留にしたとすると、以下の理由から飛び降りた男性は「危険性を認識できていた」ということで書類送検になる可能性が高いです。
書類送検とは?
書類送検ってよく耳にしますが、実際はどういうものなのか気になりますよね。容疑者が死亡していても成立するのなのでしょうか。
書類送検とは、警察が捜査記録を検察に引き継ぐことです。
警察は、捜査を行った報告書や証拠を検察に送検して、事件を引き継ぎます。
検挙した容疑者(被疑者)を刑事裁判で訴える権限は、検察にしかありません。
そのため、検察に起訴(刑事裁判で訴えること)か不起訴を判断してもらうために、事件を引き継ぎます。
警察から検察に「捜査書類を送って引き継ぐ」から「書類送検」というのですね。
ちなみに書類送検と逮捕は意味が異なるようです。
- 書類送検:被疑者が逮捕されていないもの
- 逮捕:身柄を拘束する強制処分
法律上は「被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断されると、逮捕は行われないそうです。
今回の渋谷パルコの事件では容疑者が死亡しており、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」ため、逮捕ではなく書類送検になるということですね。
まとめ
渋谷パルコから飛び降りた男性が罪に問われるかどうかについてまとめました。
悲惨な事件となりましたが、負傷された通行人の男性が一日も早く回復されることを祈っています。
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